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【ABW導入・オフィス移転事例】「機能的な働く場所」から「価値ある体験の場」へ。フジヤ×ソーシャルインテリアの『体験設計』で解決するワークプレイスの経営課題

【ABW導入・オフィス移転事例】「機能的な働く場所」から「価値ある体験の場」へ。フジヤ×ソーシャルインテリアの『体験設計』で解決するワークプレイスの経営課題
目次

企業の成長を加速させ、働く人と顧客の未来を変えていく。その起点が、オフィスを変えること。

展示会やイベント、商業施設、文化・公共施設などの空間づくりを手がける「フジヤ」と、インテリア・家具業界における3つの事業(インテリアのセレクト型オンラインストア/オフィス構築支援/インテリア卸プラットフォーム)を展開する「ソーシャルインテリア」。

オフィス空間は、企業で働く人のモチベーションを高め、創造性を引き出すだけでなく、企業と顧客との新たな接点を生み出す場にもなります。

展示という「人を惹きつけ、出会いを生み出す空間」を創造してきたフジヤと、業界を問わず働く環境をデザインしてきたソーシャルインテリア。異なる領域で培ってきた両社の知見を掛け合わせることで、オフィスにはどのような可能性が生まれるのでしょうか。

今回の座談会では、オフィス環境の重要性を検証し、その実現と発展に向けた具体的な「リアル」について、フジヤ東京本社移転プロジェクトにおける両社メンバーそれぞれの視点で率直な意見を交わしました。

プロフィール

「フジヤ(FJ)」が持つプロモーション視点の体験設計の専門知識

イベントや展示会で培った「企画プロセスから伴走し、人の心と行動を動かす設計力」を自社オフィスへ適用。社員のエンゲージメントを高め、企業の成長を加速させる「体験の場」の創出について、リアルな舞台裏や具体的事例を交えながら語ります。

前田哲伺

前田哲伺/プロジェクトリーダー(戦略・全体統括)

「机を並べるだけの場所じゃない。スタッフの余白と動線から生まれる出会いを、オフィスでつくりたい。」

山下英子

山下英子/プランナー(空間デザイン・設計)

「人の本音をすくい上げ、異なる価値観をひとつの空間体験へと編み直す。それがプランナーの仕事だと思います。」

村上聡一

村上聡一/総務・広報グループリーダー(運用)

「オフィスは完成した日がゴールじゃない。使いながら、みんなで育てていくものです!」

「ソーシャルインテリア(SI)」が持つオフィス設計の専門知識

インテリア・家具業界におけるスタッフのモチベーションを高めるための空間デザインのポイントを、オフィス空間の「デザイン」と「機能性」を融合させた、新しいオフィス環境の構築について、具体的な事例とともに語ります。

上原優磨

上原優磨/プロジェクト責任者

「私たちは、売るものを持っていない。だからこそ、経営課題の側から出発して、世界中から最適な答えを選べるんです。」

関徳太

関徳太/PMディレクター

「予算と理想、その両方を諦めない。それがPMディレクターとしての一番のこだわりです。」

神崎慈奈

神崎慈奈/空間デザイナー

「ブランドの物語を、空間のモチーフと象徴に翻訳する。それが空間デザイナーの仕事だと思っています。」


この記事でわかること|あなたの立場に合わせた見どころ

【経営層・役員の方へ】

  • 賃料増という経営課題に対し、ABWによる空間効率と働き方の変革をどう設計し、経営戦略と連動したROI(投資対効果)を描いたのか。
  • オフィスを単なる「管理コスト」と捉えず、ABWによる従業員体験(EX)の向上を、企業成長につながる「未来への投資」へどう転換したのか。
  • 専有面積を増やすだけではない、空間・働き方・共用部を一体で捉えた、固定費と投資効果を両立するオフィスの考え方とは。

【総務・ファシリティ・PM担当の方へ】

  • 職種ごとに異なる働き方や要望に対し、ABWによる「目的に応じた空間の使い分け」でどう合意形成し、働き方の選択肢を設計したのか。
  • B工事費高騰や消防法制限といった実装上の課題に対し、ABWに必要な多様な空間機能と理想のデザインをどう両立したのか。
  • 専有部だけに機能を詰め込まず、共用空間も含めて働く場を再設計し、面積・コスト・利便性をどう最適化したのか。

【人事・広報・インナーブランディング担当の方へ】

  • 社員一人ひとりの本音や働き方を起点に、ABWで必要となる「場所」と「過ごし方」を整理し、企業文化を体現する基本構想へどうつなげたのか。
  • ABWによる働く場所の選択を通じて、部署・世代・職種を越えた交流や行動変化をどう生み出し、稼働9ヶ月後にどのような定着が見られたのか。
  • 稼働後も利用状況や社員の声をもとに運用を更新し、ABWを「つくって終わり」にしない、進化し続けるオフィスへどう育てているのか。

1. なぜいま、フジヤはオフィス移転・リニューアルを決断したのか?─経営課題と「体験」の交差点

机を並べるだけでは、もう限界だった。移転前のコミュニケーション課題

移転前のフジヤが直面していた、スタッフ同士の「接点」が消えていくリアルな危機感。

前田(FJ):いま思えば移転前、フジヤが社内で直面していた「コミュニケーション」や「エンゲージメント」のリアルな課題が山積でした。コロナ禍からイベント市場が回復して活発になってきて、スタッフ一人ひとりがワークに追われる日常の中、余白がなくなってきてスタッフ同士のつながりやモチベーションの低下が、そのうち一気に訪れると感じてました。

例えば、出先から戻り自席で業務処理、そして外出とオフィスでの動き。要するに外出と自席の往復では、作業をこなすだけでスタッフ同士の接点が少なくなると思っていてそこで課題としては、スタッフ動線を増やす・交差させる。そこから生まれるコミュニケーション・情報から新たな着想や変化を起こせるオフィス空間が必要だと考えていました。

同時に、同様の課題を抱えている企業、人材の定着や帰属意識などに頭を悩ませている経営者も多くいるのではないかと感じています。

「この2社なら面白いことができそう」と思った瞬間

働く日常を進化させ続けるソーシャルインテリアと、人の心と行動を動かすフジヤ。閃きの原点を振り返る。

前田(FJ):単にきれいなオフィスを創るだけでなく、従来の枠を超えた新たなワークプレイスの可能性を模索している中で、ソーシャルインテリアさんとの出会いがありました。

フジヤが培ってきた「顧客のニーズを汲み取りながら伴走・具現化させる体験設計力」と、ソーシャルインテリアさんが持つ「企業の想いを空間に同期させ、日常を進化させ続ける設計力」が掛け合わされば、いままでとは違う視点でのオフィスが実現できるのではないかとワクワクしていたことを思い出しますね。

すべての起点は、「働く環境の再定義」から

多様な経営課題を解決に導く、最初のきっかけとは。

前田(FJ):事業拡大や採用強化、ブランディングといった目的は独立したものではなく、すべてひとつのサイクルとしてつながっていると考えています。

スタッフのやりがいや満足度が上がれば提供価値が高まり、それがファンや新たな人脈、次の事業拡大へとつながる好循環ですね。

だからこそ、きっかけは明確でした。事業成長で増員する中、「単に席を増やす足し算ではなく、自分たちの『働く環境のあり方』を根本から再定義しよう」と決断したことから、このプロジェクトはスタートしました。

オフィスはもう「経費」じゃなく「投資」

なぜいま、従業員体験(Employee Experience)が欠かせないのか。

上原(SI):お久しぶりです!といっても先日もWeb会議で打ち合わせさせて頂きましたが(笑)。もうフジヤさんの東京本社がリニューアルして9ヶ月経ったのですね。

最初に私から『オフィス』とは?を熱く語らせて頂きますと…、

オフィスは家よりも長く時間を費やす場所ですので、その体験の質が悪いままで良いはずがないし、人口が減少していく中で、どの会社にとっても優秀な人材の採用と定着が最重要課題になっています。

人が会社を選ぶ理由の中で「働く環境」の比重は明らかに上がってきていて、オフィスはもはや経費ではなく、まさに投資なんです。

ホテルが滞在体験で選ばれ続けるのと同じように、オフィスも毎日の体験の質で選ばれ続ける時代だと考えていますので、まさに現代のワークプレイスは、「単なる作業場所(機能)」ではなく「従業員体験(Employee Experience)」が不可欠であると考えています。

これだけの会社なのに、「もったいない」と感じた

以前のオフィスを見た瞬間に感じた、実力と空間のギャップ。

上原(SI):そして、このプロジェクト 最初の打ち合わせで、移転前のオフィスにお伺いして最初の印象は…これだけクリエイティブで素晴らしい実績のある会社なのに、オフィスが「作業場」になっていたこと。

席も働き方も固定化しているみたいで、新卒の若いスタッフも多く働く会社でありながら、空間からその勢いが見えづらかったことを覚えています。

そして何より、来客の多い会社なのに、素晴らしい実績やクリエイティブ性がレセプションエリアから見えづらかったのが、率直にもったいないと感じました。これだけ見せられるものを持っている会社なのだから、もっと空間で自らが実験となり社会にアピールするべきだ。と、最初からそこが提案の大きな「軸」になりました。

望ましい体験が課題を解決!2社が噛み合った瞬間

「空間の体験設計力」と「働く日常を進化させ続ける設計力」。

前田(FJ):先ほどもいいましたが、移転前のオフィスは作業をこなすだけの機能的な場所になっていて、コミュニケーションの希薄化やエンゲージメント低下といった強い危機感がありました。世の中的にも、ただデスクを並べるだけのオフィスは限界を迎えており、上原さんもおっしゃっていたとおり、これからは「従業員体験(Employee Experience)」や「イノベーション」を生み出す場に変わらなければならないと、強く問題提起をしていました。

そこで私たちが決断したのは、イベントや展示会で培った「人の心と行動を動かす力(空間の体験設計力)」を自社に適用し、オフィス自体を課題解決の『実証実験の場』と位置づけました。ワークショップを重ね、スタッフから「こう働き、こう体験したい」という熱い本音を徹底的に引き出していったんです。

上原(SI):「自社オフィスを実証実験の場にする」という想いを見た瞬間、私たちソーシャルインテリアの役割は「その想いを、本当の意味で毎日使える形に翻訳する」と決心しました。

コンセプトの『The Exhibition』は、常に新しいものに触れ、感性が刺激される場を意味し、特定メーカーの型番に縛られては、この表現は痩せてしまいます。

ソーシャルインテリアは自社製品を持たないため、膨大な選択肢の中から「これを体現する一脚」を選び抜くことができた。ここは相性が良かった部分で、もうひとつは「進化し続ける前提」でつくったこと。

展示会は会期ごとに中身が変わりますよね?オフィスも同じで、竣工をゴールにせず、働き方の変化に合わせて入れ替え続ける前提で設計に組み込みました。

コンセプトの中の『常にアップデート』という言葉はソーシャルインテリアの事業思想そのものであり、勝手に「運命」を感じていました(笑)。

前田(FJ): そういっていただけると嬉しいですね。まさに構想を妥協なく形にするマルチベンダーの調達力と、入居後も日常を進化させ続ける「Day2」運用の視点があったからこそ、実証実験プロジェクトとして力強く動き出したと感じています。

競合ではなく最強のパートナー?お互いの初提案を見たときの本音

圧倒的な資料量に見た「本気度」。

上原(SI):そしてまず、初回の企画資料の量とオリエンの本気度に驚きました。資料が100枚以上あり、すべての人数分ファイリングされていて、公共入札かと思いました(笑)。

ただ、改めて「この会社は本気だ」と感じました。シンプルに想いが強い。実施要綱から要件定義書まで、移転への本気度が資料の厚みにそのまま表れていたんです。

だからこそ同時に、この想いを超える提案をしなければパートナーとしてお付き合いはできない、とも思いました。コンペの相手は業界最大手。規模で勝てないなら本気度とチームの実力で勝つしかない。

私自身が全資料を読み込み、フルコミットで臨むと決めたことが懐かしいです。

前田(FJ):フジヤが用意したプロポーザル資料は15種類あり、仕様書・移転ビルの詳細図面はもちろんですが、特にオフィス移転基本計画書や要件定義書は、しっかり議論を重ねてきましたので、膨大な情報があったと思います。

細かなところでは半年近くにわたりチェックした時間ごとのスタッフの着席率リストからのデスク数の設定など、要望と根拠に基づいたご提案で、特に『新オフィスのコンセプト』がすべてを物語っていたと思います。

細部の空間テクニックを上げればキリがないですが、『新オフィスのコンセプト』における「採光の取り入れ方」、ブランディングにつながる「働くスタッフの魅せ方」など。ゾーニングや本物素材を適材適所に使用したオフィス設計は、好みの分かれないバランスの取れたご提案だと思いました。

同じ空間づくりの業界にいるので競合と思いがちですが、提案書を見た瞬間、「この2社が組めば、競合するどころか企画から施工、さらに引き渡し後の運用(Day2)まで、お客様を生涯にわたってサポートできる唯一無二のワンチームになれる!今回の移転構想は間違っていなかった!」と、一瞬でビジョンがつながりました。

「同じ空間づくりの業界にいるのに、ここまで見事にターゲットや強みが被らない、きれいな補完関係が成立するのか」と、社内でも大きな衝撃が走ったのを覚えています。

2. 『作業場』から『The Exhibition』へ。スタッフの本音から生まれた空間設計とABWの導入

スタッフの本音から紡ぐ『企業文化の象徴』。コミュニケーション活性化への第一歩

ワークショップで引き出した熱量が、「基本構想」へと結晶化するまで。

前田(FJ):今回のプロジェクトで何より重視したのは、実際に働くスタッフの本音をすくい上げることでしたが、本当に大変でした(笑)なぜならスタッフは企業にとって最も重要なステークホルダーで、社内ファンを増やし、帰属意識やモチベーション(エンゲージメント)を高める「企業文化の象徴」としての空間が不可欠だからです。

そこで各部署からの選抜メンバーで、カードワークによるワークショップ(ペルソナ分析)を実施しました。単なる機能的要望だけでなく、職種ごとの1日の動きを追う中で「偶発的な対話からアイデアを生みたい」「もっと自分の個性を発揮したい」といった熱い本音を引き出していきました。この丁寧なプロセスを経て、「コミュニケーションの活性化とさらなる個性の発揮」という目指すべきコンセプトが確固たるものになっていったんです。

山下(FJ):それらの本音を受け、プランニング・デザインの立場から「企業文化の象徴」となり得る「基本構想」へとまとめたのが私の役割です。

スタッフが自社への誇りを感じられる基本構造をしっかり構築できたからこそ、後にソーシャルインテリアの神崎さんが『The Exhibition(感性が刺激される場)』という素晴らしいコンセプト名へと昇華させ、五感に響く空間へと完全翻訳してくださったのだと感じています。

職種ごとの「譲れないこだわり」を昇華させる、ABW(Activity Based Working)という解

意見の対立を乗り越え、目的や時間軸で空間を渡り歩く働き方へ。

前田(FJ):ワークショップで意見を集約していく中で、営業部門、デザイナー部門、管理部門といった職種ごとに求めている空間の定義が見事なまでにぶつかり合いました。

「Web会議用ブースを増やしてフリーアドレス化を進めたい営業」と、「大きな作業デスクや固定席、素材検証ができるラボが欲しいデザイナー」の要望が衝突。さらに「雑談を生むオープン空間」と「セキュリティや集中環境」のバランスでも意見が分かれ、まさに物理的な面積の限界との戦いでしたね。

山下(FJ):ほんとそうでしたね。そこで、その意見の対立を解決したのが、時間や目的に応じて最適な場所を自ら選んで働く『ABW(Activity Based Working)』のアプローチを取り入れた設計でした。

  1. 来客用のプライバシーと重厚感を備えた会議室
  2. 社内用の活発な議論を生み出す個室ブース
  3. 集中できる1人用Web会議ブース
  4. 新素材や最新トレンドに触れられる「ものづくりラボ」
  5. 気軽に集まれ、チームの一体感を育み偶発的な対話を促す雑談エリア

これらの空間を高密度に配置し、席を固定して奪い合うのではなく「目的や時間に応じて移動する」形にしたことで、全員の働き方が最適化される最高の着地点を見出すことができました。

オフィス全体が「企業文化のメディア」。空間×コンテンツ×体験の一体化

イベントプロデュースのノウハウを応用し、偶発的な交流を生み出す。

山下(FJ):フジヤはこれまでも多くのワークプレイス事例で課題解決を手がけてきましたが、今回は自社オフィスをさらに一歩進んだ『実証実験の場』として、イベント空間で培った「どうすれば自然と人が立ち寄り、心を動かされるか」というプロデュースノウハウを活かしました。働き方ジャーニーを意識し、偶発的なコミュニケーションや部署を超えた交流が自然と生まれるレイアウトや導線設計を施しました。

エントランスや会議室、コミュニケーションエリアは、単なる共有スペースではなく、自社の価値観やクリエイティビティを自然に発信・体感できる『企業文化のメディア』として設計されています。

フジヤが誇る多様なクリエイターや施工ネットワークを最大限に活かし、「空間コンテンツ体験」を一体化させたからこそ、訪れる人にも働くスタッフにも刺激を与える、フジヤならではのプロデュース空間が実現できたと思っています。

オフィス全体を、ひとつの『パビリオン』に見立てる

ブランド体験を具現化する、空間デザインへの完全翻訳。

神崎(SI):山下さんたちの基本構想を受けて、「ブランド体験」というのは、今回の移転プロジェクト全体を通した空間デザイナーとしての大きなキーワードでしたね。これをどう空間に体現するかという視点で、フジヤさんの事業ドメインである「ブース(展示会場)」のモチーフをオフィスのあちこちに散りばめて、オフィス全体をひとつのパビリオンに見立てるデザインにしました。

会議室や「アイデアボックス」を意図的に点在させる導線設計により、使うスタッフも来客も、歩くだけで展示会場を巡るような楽しさが伝わる空間になっていると思います。

ただ、箱がオフィスの中に散らばるデザインは斬新である一方、「かっこいいだけ」で終わってはいけないと思っていたので、その空間で誰がどう使うのかという解像度を最大限に上げ、色使いや家具の配置、サイズなど細かい部分をひとつひとつ詰めました。

エントランスの大きな三角ベンチや、角度をつけた斜め会議室も、単なるシンボルとしてではなくて、そこでの過ごし方や居心地の良さ、そして日々の業務での使いやすさを計算した末のスタイルです。

もうひとつ、安らぎにつながる要素として「ホンモノの素材」にもこだわった点が挙げられますが、床のフローリングもフロアタイルではなく本物の木材を、エントランスには特殊なメタリック塗装を、シンボルの柱にはフジヤさんのブルーカラーのタイルを、と随所に「ホンモノ」の素材を採用しています。

実は、予算面で代替案(イミテーション)の話も出ましたが、「クリエイティブな会社として、そこは譲れない!」という点で一致し、使う人の心地よさとともに、クリエイティブな会社で働いている誇りを感じられる素材選びが実現できたと思います。

「これは無理だろう」と思ったアイデア

消防法の壁にぶつかったエントランスデザイン。シンボルが生まれるまでの調整劇。

神崎(SI):ところで、エントランスのキューブ型の入口。ガラスにボックスが突き刺さっているように見えるシンボリックなデザインは当初から提案していたのですが、消防やビルの制限上、最初の案だとボックスの頭からスプリンクラーがニョキっと生えてくるような見た目になってしまいそうでしたね(笑)

設計パターンをいくつもつくって消防と協議を重ね、最終的にはすっきりとしたデザインに収まりましたが、あの入口は見た目のシンボル性だけでなく、そこまでの調整があったからこそ実現できた部分だと思っています。

山下(FJ):あのエントランスは、今や訪れる誰もが驚くオフィスの象徴になっています。妥協せずにアイデアを形にしてくださったことに感謝しています。

ゾーニング・ルール・運用の3段構えで、オープン化の課題に挑む

安心感を残しながらフリーアドレスを実現する、ソフト面の工夫。

山下(FJ):デザインやハード面だけでなく、オープン化・フリーアドレス化に伴う不安を解消する「ソフト面(運用)」にも工夫を凝らしました。完全な自由席にして孤立を生むのではなく、部署ごとに家具や座席シートの色を変えた緩やかなゾーニングや、席の独占や新人が席選びで迷わないためのガイドブックを作成したんです。 「どこに座ってもOK」という自由さをベースにしながらも、放置するのではなく優しい道標やルールを設けたことで、全社に安心感と一体感が生まれました。

そして、実際にスタートすると「オフィスの美化」や「ゴミ問題」など、新たな課題が次々と見えてきています。ルールをつくって終わりではなくスタッフの意見を吸い上げながら、現在も柔軟にアップデートし続けています。

3. 妥協なき「実装」と稼働後の「進化」。オフィス移転を成功へ導く、リアルな舞台裏

理想と制限を両立させる、PM(プロジェクトマネジメント)の3つの壁

指定業者調整、多数の関係者、そして予算とデザインの両立。

関(SI):フジヤさんのコンセプトと予算。そこにソーシャルインテリアの家具・植栽をシームレスに実装する上で、PMディレクターとしてすべてを諦めないために最も苦労したのは「指定業者との調整」、「多数の関係者との調整」、「予算とデザインの両立」の3点でした。苦労はそこだけではありませんけど…(笑)

「指定業者との調整」

本件は座組上、B工事費が高額かつ予測しづらい状況でした。限られた全体予算内で着地させるため、早期から複数回にわたる事前協議と調整を粘り強く行い、想定より低い金額で着地し工期も無理のない工程で実施しました。

「多数の関係者との調整」

本件の座組として「フジヤさん」「オフィス家具メーカー」「B工事業者」「ソーシャルインテリア」と多くの役割と関係者が携わっていました。フジヤさんのコンセプト、希望を叶えるための詳細確認、執務系什器・施工を担っていただいたオフィス家具メーカーとB工事業者へのデザイン意図伝達、工程調整などを綿密に行い実行いただきました。関係者が多く調整の難しさはありましたが、それぞれの想い、強み、特徴を活かしきれたことで最終的に最高の空間をつくり上げることができました。

「予算とデザインの両立」 

どんなプロジェクトにも予算はついてまわります。しかしながら、フジヤさんの目指す「体験設計」を妥協なく空間に落とし込みたい。そこで特定のメーカーに縛られないソーシャルインテリアのマルチベンダーとしての強みを活かし、膨大なブランドからコンセプトに完全にフィットする家具やアイテムを厳選し、調達・施工を行いました。事前の緻密なコスト調整と、マルチベンダーの強みを活かした柔軟な提案により、予算要件を満たしつつも理想の世界観を具現化でき、ソーシャルインテリアも大きく成長させて頂いたプロジェクトとなりました。

グレードダウンの誘惑を断ち、最後まで理想を諦めなかった

コストが膨らむ局面で、関さんが選んだのは「妥協」ではなく「再設計」だった。

関(SI):概算プロジェクト予算の取りまとめのフェーズでは、大きく金額を占める項目は『VE/CD(Value Engineering / Cost Down)』としてグレードダウンの変更をしたい、施工がかなり難しい箇所は施工しやすいよう形状変更したいと頭によぎったことが、実は何度かありました(笑)。

しかしながら、安易な変更はフジヤさんのコンセプトと想いを叶えられず、中途半端なものにしてしまうことになるのですぐに立て直し、コストが大きく掛からず施工可能な方法を関係者と密に練り上げることで、妥協しない空間をつくり上げることができたと自負してます!

つくって終わりにしない。稼働後も進化し続けるオフィス運用

スタッフの行動はどう変わったか。そしていまも続く、日々の検証とアップデート。

村上(FJ):予算内で妥協しない大変なご苦労をお掛けしたと思いますが、ABWを取り入れたことで、以前のように自分のデスクに固定されることがなくなり、その日の業務内容や気分に合わせて自ら最適な場所を選んで動くようになりました。実際に新しいオフィスが稼働してから生まれた、スタッフのポジティブな感情や行動の想像以上の大きな変化について、私からお伝えします!

スタッフの感情と行動の変化

  • 旧オフィスと比較して「自然にコミュニケーションが生まれるオフィス」になった
  • 同期や若手同士だけではなく、部署や世代を超えた交流
  • 執務エリアとコミュニケーションエリアを分けたことによる仕事のメリハリ
  • 執務・会議・コミュニケーション・個室ブースのシームレスな行き来

先ほど山下からもありましたが、オフィスは「完成して終わりではなく、使いながらみんなで育てていくもの」です。実際使い始めたからこそ見えてきた職場環境整備や、ゴミ・美化問題、利用ルールの明確化などの課題にも、申請のデジタル化やルールの見直しで柔軟に対応してきました。

今後はスタッフの利用実態やアンケートなどのデータを蓄積・分析し、さらなる活性化や多様な働き方の実現につなげていきます。この運用面でのアプローチやデータ活用で、オフィスを常に最高の状態へと更新し続けられる『実験場』として進化させていきます。

「単なるコスト」から「未来への投資」へ。経営層を納得させた投資対効果の描き方

シビアな予算承認を乗り越えた、経営戦略と紐づくロジックとは。

前田(FJ):オフィス移転を検討される多くの企業様にとって、最も関心が高く、同時に大きなハードルとなるのが「経営層・上層部への予算承認とROI(投資対効果)の証明」だと思います。私もここが一番苦労しました、旧オフィスと比較して、年間の賃料は数千万円単位で増加することが分かっていましたから…。

物価高や建築費高騰が続く中で固定費を上げる決断をするわけですから、「単にきれいで快適なオフィスになります」というデザイン面や機能面だけの訴求では、当然ながら経営層の承認は得られません。そこで本プロジェクトでは、オフィスを単なる「管理コスト」ではなく「企業成長のための未来への投資」と位置づけ、多角的な視点で定量・定性のロジックを構築しました。エンゲージメント向上による離職防止や採用力の強化による人材関連コストの抑制、多様な働き方の推進に伴う拠点の最適化など、事業成長に寄与する要素を客観的な数値・シナリオとして提示したのです。

これらを泥臭く数字に落とし込んで、全社の持続的な成長戦略と密接に紐づけたロジックを示せたことこそが、経営層の深い納得と意思決定を引き出せた最大の要因だと感じています。

4. フジヤ×ソーシャルインテリアだからできること、そしてこれから

他社にはない、フジヤ×ソーシャルインテリアだけの提供価値

「中立性」と「売るものを持たない」強さ。2社が融合したからこそ生まれた武器。

前田(FJ):ここで最後に、「なぜこの2社のタッグが万能で強いのか」を、フジヤの視点から簡潔にご説明いたします。

「機能的な場所」を「経営課題を解決する体験の場」へ昇華する設計力

これまでは、主に効率性や利便性を重視した機能的な働く場所に留まりがちでしたが、両社の融合により従業員が「働きたい」「新しい発想を生み出したい」といったポジティブな感情や行動を起こす『従業員体験(Employee Experience)』の場を設計します。これによって、人材の採用・定着、生産性向上、企業文化の浸透といった企業の重大な経営課題を、空間デザインを通じて直接解決できる点が最大の強みです。

特定メーカーに縛られない「中立性」と「柔軟な調達・支払手法」

自社ブランド家具の販売を主目的とする大手メーカーとは異なり、ソーシャルインテリアさんが持つ国内外1,000ブランド12万種に及ぶマルチベンダーとしての調達力を活かします。これによって、企業のブランドや想いに合わせた妥協のない最適なコーディネートが可能になります。

さらに、購入だけでなくサブスクリプション契約(初期導入費用を最大95%カット)や一括購入を組み合わせたハイブリッドな契約パターンを用意することで、キャッシュフローを平準化し、不確実な時代における企業の移転・投資リスクを最小限に抑えます。

上原(SI):ソーシャルインテリアからもアピールさせてください!

私たちの強みのひとつは「売るものを持っていない」ことです。

ソーシャルインテリアには売らなければならない自社製品がありません。だからこそ採用やエンゲージメントといった経営課題の側から出発し、最適なものを世界中から選べます。本プロジェクトも大手メーカーとのコンペの中で選んで頂きましたが、勝因は規模でも価格でもなく、この「縛りのなさ」と「本気度」だったと考えています。

ふたつ目の強みは「途切れない」ことです。

通常は、コンセプトをつくる会社、設計する会社、家具を入れる会社、運用する会社が分かれており、バトンが渡るたびに想いが目減りしていく。この座組みは、フジヤさんの体験設計から、当社の調達・実装・入居後の進化まで、ひとつのストーリーのまま最後まで走りきれます。まさに伴走者です。

実際に使ってみて分かった「想像と違ったところ」

稼働9ヶ月で見えた「良い誤算」と、いまも未完成であり続けることの意味。

前田(FJ):今日は長時間の座談会、お疲れさまでした!

新オフィスが無事に完成し、実際に稼働し始めてから9ヶ月が経ちましたが、本当に良い意味での誤算というか、想像を超えていた効果がたくさんあります。

一番驚いたのは、スタッフの「行動変容のスピード」です。移転前は、どうしても自分の固定席に縛られて作業するスタッフが多かったのですが、新オフィスになってからは、その日の気分や業務内容に合わせて自ら最適な場所を選んで渡り歩くスタイル『働き方ジャーニー』が、若手だけでなく全社で一瞬に定着しました。

「フリースペースを本当にみんな使いこなしてくれるかな?」と最初は少し心配していたのですが、いまではカフェスペースの周辺で、部署を超えたちょっとした相談やミーティングが日常茶飯事になっていて、お昼にはフードコートのように自然と人が集まる、外食しないスタッフにとってもお財布にもやさしい居場所になっています。

それともうひとつ、想像以上に大正解だったのが「ビル側の共用空間(付帯設備)のフル活用」です。今回のビルには、100名規模の発表会ができる「LIBRARY HALL」や、本格的な調理が可能なテストキッチン「FOOD LAB」といった素晴らしいインキュベーション施設が備わっています。

当初は「オフィス面積を効率化する分、足りないスペースはビル側の共用部でカバーする」という計画でしたが、自社の専有スペースを広げて固定費を圧迫することなく、必要なときだけ高品質な設備を使い倒す。このスマートな運用は、完成して実際に使ってみてこれほど合理的にウェルビーイングを実現できる選択肢はないと実感しています。

上原(SI):本当に良い意味で想像と違ったのは、「空間が営業してくれる」ことを実体験できたことですね。フジヤさんのオフィスを訪れたお客様が「私たちもこういうことがしたい」と仰っているというお話も聞いて、オフィスが販促物や名刺以上の営業ツールであると考えていましたが、本当に想像以上でした。

正直にいえば、すべてが竣工日に完璧だったわけではなく、使いながら調整していることもあります。ただ、それこそが「進化させ続ける」ことの実践であって、完成日に100点を目指すより、使いながら120点、さらに皆さんを笑顔にしていく。その調整を一緒にできる距離感、さらにはパートナーシップを結ぶ関係がいまでも続いていることが、私たちの最大の成果だと考えています。

今後は、この型・スタイルをオフィス分野だけでなく、工場や研修施設などのワークプレイス空間へ。そして東京だけでなく全国へ広げていきたい。「フジヤ×ソーシャルインテリアなら、空間のことは全部任せられる」そういわれる座組みに育てていきたいですね。

前田(FJ):まさにそうですね。オフィスを『つくって終わりにせず、変化し続ける企業のパートナー』として、ぜひともに、これからの新しい空間の可能性を創っていきましょう!本日はありがとうございました!

全員:ありがとうございました!

オフィスづくりは、企業の未来を切り拓く「経営投資」です。

  • 「自社らしい『体験の場』をつくり、企業文化を浸透させたい」
  • 「社員のエンゲージメントと採用力を高めるオフィスへ刷新したい」
  • 「何から手をつけるべきか、経営課題の整理から相談したい」

フジヤ×ソーシャルインテリアの共創タッグが、構想策定・デザイン・家具調達から、入居後の「Day2運用」まで、貴社の想いに寄り添い、ひとつのストーリーとして伴走いたします。まずはオフィスの見学や、些細なお悩みのご相談からでも構いません。どうぞお気軽にお問い合わせください。


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